15年ぶりの再訪


日本にいる間、たまたま母校の近くを通りかかる機会があったので、ふらっと立ち寄ってみた。もう、15年ぶりになるだろうか?大学の構内はすっかり様変わりしていた。図書館が別の場所に移った。寮がなくなった。食堂と本屋も新しいビルに移動している。昔サークルの部室があった場所にいってみると、もともと廃墟のようだったその建物は、より一層廃墟同然になっていた。


昔、近所にあるDORAという喫茶店によく通っていたのだが、まだあるかな.....と歩いていくと、喫茶店は、こじんまりとそこに残っていた。中に入ると、昔の雰囲気そのままで時間が止まったよう。教授とゼミの学生達か、大きなテーブルでランチを食べながら談笑している。「カレースパ」と注文をすると、おばちゃんが不思議そうな顔で僕の顔を見ている。どうやら、僕のことを覚えていてくれたようだ。その後は、いろいろと昔話に花が咲く。サークルの部室は、もっときれいな建物の一室に移ったということらしい。


「最近は、昔ほど学生さんがこないのよね〜」とおばちゃん。なんで、と聞くと、「ほら、授業に出ないで喫茶店に入り浸っていたあんた達みたいな学生が減ったのよ。今は、みんなまじめに授業に出てるんだから。」ほんと?「そうよ、ここ10年ぐらいかしら」。授業に出ているかどうかは知らないが、確かに学生はいろいろと忙しいのだろう。不況や労働観の変化を受けて、もはや大学はモラトリアムの場所ではなくなったということだろうか。だとすれば、変わったものは景観だけではないのだ。