コウルズ財団



コウルズ財団主催の会議に参加してきました。マクロ、計量、理論、ミクロ構造計量の4つのセクションからなる、1週間に及ぶ会議です。写真は、イェール大学ヒルハウス通り沿いにあるコウルズ財団の本部ですが、ここではちょっと狭すぎるので、Yaleのビジネススクールが会場になりました。


実は、「明日の天気を(平均して)必ず当てる方法」の話題に関連した最近の成果がいくつか発表されていて、かなり関心を引いていました。それによると、どのような確率過程をもってきても、それを知っている専門家を確率1-eで棄却しない標準的な統計的テストを設計すると、必ず全くの素人が(ほぼ)確率1-eでパスすることが可能だとのことです。*1つまり、タイプ1エラーを小さくすると、「タイプ2エラー」がどうしてもでかくなってしまうわけですね。


上で「標準的な」と断っているのには理由があって、実は専門家と素人を見分けるテストはないわけではないんですが、そのようなテストは、必ずある種の理論/予測を観察なしにアプリオリに棄却するテストになっているそうです。確率過程を真のモデルと、そして専門家を科学者とみなせば、これは科学哲学的に重要なインプリケーションのある結果ではないかと思います。

*1:追記:「どのような確率過程をもってきても」というのが肝です。もし真の確率過程がi.i.d.だと分かっているならば、例えば雨が降る確率を最初に予測してもらって、実際に雨が降った頻度とその予測を比べる事で、専門家と素人を見分けることが出来ます。