エイミー・マン

フォーゴトン・アーム ロスト・イン・スペース バチェラー No.2 マグノリア


“One is the loneliest number you’ll ever do…”*1


Aimee Mann のコンサートヘ行ってきた。彼女を知らないのなら、80年代に一発ヒット“Voices Carry”を飛ばしたティル・チューズデイのボーカルの女性だといえば、30代ぐらいの人にはぴんと来るかもしれない。

最近では、1999年の映画「マグノリア」に曲をたくさん提供したシンガーソングライター、というのが一番通りがいいだろうか。映画の中で、出演者がみんなで歌うあの歌、“Wise Up”も彼女の曲だ。特にその中でも、“Save Me”は、オスカーで映画主題歌部門にノミネートされたが、ターザンの主題曲を歌うフィル・コリンズに、賞を持っていかれてしまった。今でも彼女がとるべきだったと思う。

彼女は、バークレー音楽院ドロップアウトしてバンドを結成し、“Voices Carry”をヒットさせるまではとんとん拍子だったが、その後は余りパッとしなかった。90年代には2枚ソロアルバムを出し、評論家には受けたものの、商業的にはいまいち。

流れが変わったのは、「マグノリア」のアルバムが1999年に出てから。そのすぐ後に “Bachelor No. 2”が、メイジャーレーベルとの交渉が難航した後、自分で立ち上げたレーベルからリリースされ、最初は自分のライブやホームページを通して売られるだけだったが、批評家には絶賛され、最終的には商業的にも大成功することとなった。

彼女は、それから二枚のソロアルバム、“Lost in Space”(2002)、“Forgotten Arm”(2005)をだして、現在に至っている。


会場は終始リラックスしたムード。彼女は、コンサートの途中からリクエストを受け付け始めた。ある人が、40歳の誕生日だということを、リクエストした紙に書いたところ、「ハッピーバースデイ」のための曲を、即興で演奏してくれた。昔の曲になると、「なんか私、自分の書いた歌詞忘れちゃうのよね」といって、覚えていないところの歌詞を適当に置き換えて、観客を笑わせてくれる。


一番びっくりしたのは、アンコールの後の最後の曲。始まった瞬間に一部の観客から、おおっという反応が。コアなファンではない僕は、はて、なんの曲だろうと考えていたのだが、これが何と“Voices Carry”。彼女が、まさか「アイドル時代」の曲をやるとは思わなかった。しかし今のアレンジで聞いてみると、これが、他の楽曲と並べても、特に浮いていないのだ。見た目は違っても、芯のところは変わっていなかったということか。

*1:Harry Nilsonの曲のカバー。