2つの封筒のパラドックスの変形問題 その2

次のような戦略を考えてみる。

「見た数がaと等しいかそれより大きければ、大きいと、aより小さければ、小さいと言う。」


2つの確率変数をX1,X2と表すと、次のような三つのケースが考えられる。


ケース1: X_{1} \geq a > X_{2} or X_{2} \geq a > X_{1} -> 100%正解
ケース2: X_{1}, X_{2}\geq a -> 50%正解
ケース3: a > X_{1}, X_{2} -> 50%正解

ということなので、ケース1の確率が正になるようにaを選んでやれば、50%以上の確率で正解できるわけ。*1


ところで、もっと一般的には、次のようなことが言える。*2


X_{1},...,X_{n}と、これらn確率変数の順序が独立ならば、順序は確率1で一定である。


つまり、いくつかの数を確率的に引いてきたときに、順序が一定でなければ、その順序は当の確率変数から独立ではないということ。二つの封筒の例を使えば、正の確率で、封筒の中身の金額は、それが大きい方か小さい方かということに関して情報を持っているということになる。*3


しかし、数式が読みにくい......

*1:そのようなaは必ず存在する。aについて、ケース1にあたるX1とX2の範囲をR(a)とする。全てのaについて、\Pr \left(R(a)=0 \right)だとしてみる。すると全ての有理数aについてそれが成り立つわけだから、加算加法性により、\Pr \left( {\bigcup_{a\in Q}R(a)} \right)=0、となるが、\bigcup_{a\in Q}R(a)は全ての起こりうる事象\left( X_{1}\neq X_{2} \right)を含んでいるので矛盾。

*2:"One Observation behind Two Envelope Puzzles," Samet,Samet,Schmeidler, AMM,2004

*3:つまり、他の封筒が、常に50/50で大きいあるいは小さい金額を含む、ということはありえない。