クリスマス

まったく、どこもかしこもクリスマスである。今日少し出歩いたら、ほとんどの店が閉まっていて、お茶を飲むのにも苦労してしまった。まあ、毎年のことなので、わかっていたことではあるけれども。

NYTimesを読んでいると、アメリカのクリスマスの歴史を簡潔にまとめた記事があった。アメリカのクリスマスが、現在のように買い物三昧のクリスマスになったのは、どうやら19世紀の終わりから、20世紀の初めにかけてらしい。それまでは、農村の文化が中心で、プレゼントは手作りの木細工など素朴なものだった。そんなもの作っている時間があるのかと思ってしまうのだが、農閑期に時間がいくらでも余っていたので、その暇にせっせと作っていたらしい。ところが、19世紀の終わりごろから、都市型のクリスマスが幅を利かせだす。田舎からNYなどの都会へ移住してきた大量の人々は、プレゼントを交換する慣習を持ち込んだものの、大都市の住民には、もちろん木細工を作っている時間などない。そこで、気軽に買える安いプレゼントへの需要が高まった。これが、現在のShopping狂いのクリスマスの始まりというわけ。

しかし、歴史の流れは一直線ではなくて、その当時から買い物だらけのクリスマスに異を唱えた一団がいろいろと運動をしていた。ピューリタンの伝統は死んでいなかったわけね。彼らが最初に成功したのは、クリスマスカードの習慣を広めること。実はクリスマスカードは、無用で安っぽいくせに手間だけかかる贈り物の代わりとして始まったらしい。これ以外にも、彼らは仕事場の上司への贈り物を廃止することにも貢献したという。アメリカにも、日本のお中元やお歳暮みたいなものがあったのだ。

[参考]The Modern Christmas in America: A Cultural History of Gift Giving (The American Social Experience Series, No 26) 
The Modern Christmas in America: A Cultural History of Gift Giving (The American Social Experience)