仕分け


えー、とりあえず基礎研究というものと透明性とか(直接)民主的な発想は水と油だと思いますよ。研究者は自分の研究の存在意義をわかりやすく説明できないといけない、という論調があって、それ自体は一般的には正しい教訓だけど、どうもその後ろに国のレベルの意思決定と国民の意向を出来るだけダイレクトに直結したいという欲望があるような気がするんですよね(杞憂だといいけど)。もしそうならば、これは必ず失敗しますよ。もちろんそのタイプの意思決定が向いているような問題もありますが、基礎研究の選別には最悪の方法です。まずこれはしっかりと確認しておいたほうがよいでしょう。


でも一方、じゃあ誰が予算の配分を決めるんだということがあって、そして当事者の研究者連中の話を聞いていたら無駄に金を使われるんじゃないかというもっともな懸念があるわけです。理想的には、この手の専門的な知識を必要とする意思決定で主導権を握るべきなのは、国でも国民でもなく中間団体(専門家集団や大学)です。しかしそのためには中間団体のレベルでチェックアンドバランスがうまく働くことが必要条件なのです。今回のことは、そのチェックアンドバランスがうまくいかなかったことの帰結なのかもしれません。もしそうなら、最大の責は残念ながらアカデミアにあるということになるでしょう。直接は知らないので間違っているかもしれませんが。