伊勢参り


だいぶ長らく空けてしまいましたが、ゆっくりと再開したいと思います。


とりあえず近況ですが、最近関西にしばらく滞在した折、初めて「伊勢参り」に行きました。以外に面白かったのは伊勢参道です。

伊勢神宮に参った後、おはらい町の喧騒を早々と抜けて、昔の参道をどんどん歩いていくと、こちらには人っ子一人いません。それもそのはずで、辺りはもう普通の住宅地になってしまってるので、これではあまり観光客は来ないだろうという感じです。


でも、それでもところどころに面白いものが残っています。例えば、これ。

東京は神田の人が、伊勢を参った記念にこんな大きい石塔を二つ立てています。彼はかなり裕福だったんでしょうね。その塔の横を見ると、「油屋」がこれを管理していると書いてあります。伊勢の近くが昔遊郭で有名だったことや、油屋がその中でも有名だったことは僕でも小耳に挟んだことがあります。きっとこの参道沿いのどこかに油屋があったんでしょう。


そのそばには、小さくてあまり手入れされてないこんな石塔が。

これには「両宮参拝碑」と正面に書いてあり、後ろや横に何十人もの名前が彫られています。これはいわゆる「講」というやつじゃないかな、とピンときます。町や村の人たちがお金を積み立てて、くじ引きで当たった人が伊勢にみんなの分までお参りしてくるというやつですね。すると、こっちはやや庶民的な感じです。


さらにずんずん歩いていくと、とつぜん趣のある建物が。

これは、どうやら麻吉旅館という旅館らしいです。たぶん有名な宿なんでしょうね。尾崎咢堂が常宿にしていたと書いてあります。機会があったら泊まってみたいですね。

坂に沿って2−3階建ての建物がずれながらつながっている感じで、合計では5階建てぐらいになってそうです。写真で伝わるかどうかはわかりませんが、面白い建物です。ふと思い出したのは、千と千尋湯屋ですね。ちょっと似たような風情があります。そういえば、あの湯屋の名前は「油屋」だったなあ。


で、これは何が何でも油屋を見つけてやろう、と思っていろいろ探してみたのですが、結局最後に見つけたのはこれ。

もう当時の名残をとどめるものは何も残っていないようで、残念でした。