良い銀行と悪い銀行に分割してクレジットクランチを解消


前にどっかのブログで見かけたBulowの銀行分割案について、BulowとKlempererが実際に記事を書いて説明しているようだ。元記事はここ(http://www.voxeu.org/index.php?q=node/3320)。


彼らの提案を説明するために、シティグループを例にとってみよう。シティグループの負債は約180兆円、そのうち預金は80兆円ほど。便宜的に資産を約150兆円とする。もちろん、この資産はいわゆる"Toxic Asset"を含んでいて、その悪影響がどれほどかははっきりと見当がつかない。そのためシティグループは十分な資本を調達することが出来ず、だから政府が資本注入するとか資産を買い取るとかいう話がよく聞かれるわけだ。


彼らの提案は、一言でいうと、シティを良い銀行と悪い銀行に分けるということになる。まず新しい銀行を作って、そこが全ての資産+100兆の負債*1を引き継ぐ。資産は"Toxic Asset"を含むけど、これなら比較的十分な資本があるので、良い銀行として資本を集められるし貸し出しも再開できることになり、金融の車輪が回り始める。では、元の(資本比率が低下して悪くなった)銀行についてはどうか。悪い銀行に残された80兆円の負債の債権者(および株主)は損な役回りだが、そこで悪い銀行が良い銀行の株式を引き受けることにして*2、悪い銀行がつぶれた時に彼らが良い銀行のシェアを手に入れられるようにすることで帳尻を合わせる、とのこと。


この方法の強みは:
(1) 評価が難しい"Toxic Asset"には手をつけなくて良い。
(2) 債権者を一律に助けないので、コストが少なくてすむ。
などなど。


ということなんだけど、さて。現場の人はどう思うのかな。



追記: Hallのブログにバランスシートの例があった。

 

*1:Senior Liability(優先負債)

*2:つまり新しい良い銀行は、元の悪い銀行によって所有される。