混合医療解禁?


混合医療導入に関する話がNATROMさんのところに


混合医療を解禁すると恐らく何が起こるかというと、自由診療のほうが利益率が高いので、どちらにも振り分けられるリソースは自由診療の方に割り当てられるようになる。たとえば、より多くの医者とベッドが自由診療に振り分けられるというふうに。実際には、余裕がないからといって保険診療を求める患者を追い返すわけには行かないので、保険対象になる医療サービスの固定価格の元での供給不足が待ち時間の増加の形となって現れることになるだろう。


これはようするに、効率的な技術の導入がパレート改善な形で起こらないという問題に見える(具体的には貧乏な人たちのための医療サービスが減少する)。これを避ける一つの方法は、自由診療による利益に高い税率を適応することだ。どれぐらい高い税率かというと、これまで保険対象になってきた医療サービスの供給量が減少しない程度の税率である。具体的には、そこでの平均待ち時間が自由診療導入前後で変化しないように税率を設定するということになる。*1こうすれば、ある程度の効率性は犠牲にされるかもしれないが、パレート改善な変化になっているし(従来のサービスは供給される一方で、自由診療のベネフィットを享受する人も出てくる)、新しい税収源として財政の緩和も期待できる。それどころか、その余ったお金を保険診療に割り当てることも可能になる。


ただしこの話では医療サービスの質がどうなるかはネグっている。自由診療においては、情報の非対称性を利用していんちきサービスがはびこるかもしれない一方で、競争による質の改善のプラスの効果も期待できる。どちらの効果が大きいかは、ちょっと分からない。

*1:しかしこれは、サービスの供給量の近似としては、ちょっと精度が低いかもしれない。個人あたりの空間あるいは診療時間が切り詰められた場合、これをキャッチできない。