夢のチョコレート工場/チャーリーとチョコレート工場

夢のチョコレート工場 [DVD]

夢のチョコレート工場 [DVD]

 
チャーリーとチョコレート工場 [DVD]

チャーリーとチョコレート工場 [DVD]

近くに、毎週金曜日の深夜にお馬鹿系映画を上映する劇場がある。昼間はアート系の映画ばかりやっているんだが、深夜にやるのは、ホラー、コメディー系が中心。ネタが尽きると(というか、好きだからか?)、必ずロッキーホラーショウがやっていて、もう何年になるか、飽きないかと思うんだが、相変わらず観客は派手な格好をして騒いでいて、その風景は、もはや伝統になりつつある。その劇場で、ジーン・ワイルダーの出ていた「夢のチョコレート工場」が一日(しかも深夜に)だけ上映されるというので、ちょっと見に行ってきた。ティム・バートンのヴァージョンが気に入っていたので、見比べてみようというわけ。



(以下のコメントは、「チャーリーとチョコレート工場」をもう見た人のためのものです。そうでない人には、ネタバレ度が高いので注意!!!)




二つの映画の見た目は、驚くほど似ているが、テーマが全く違っている。1971年の映画は、正直で無欲な子供が報われるという話なのね。報われるというのは、どう言うことかっていうと、チャーリーがウォンカから工場を引き継いでめでたしめでたしってこと。で、そのための(バートン版にはない)重要な複線が、最初から張ってある。あと、そのため、話のディテールもバートン版とは微妙に違う。例えば、チャーリーがゴールデンチケットに当たるのは、彼が拾ったお金でおじいさんのためにチョコレートを買うときだ。1971年版では、その時までに5枚のゴールデンチケットはもう全て見つかっていているから(そのうちの1枚は、もちろん偽なわけだけど)、これは無私な行為なわけで、そのチョコレートが大当たりになると。バートン版では、確かチャーリーはまだこの時、何とか一発当てようと欲の皮がパンパンなんじゃなかったっけ?(でもちょっと、自信ありません。バートン版を見たのがだいぶ前なので。)


一方バートン版は、家族がテーマ。ウォンカにとって、チャーリーに工場を引き継いでもらうってことは、チャーリーを自分の子供にするってことなのね。最後にみんなで一つ屋根の下に住んでることからも分かるけど、ただ単に工場を引き継いで欲しいんじゃなくて、家族が欲しいわけ。だけど、チャーリーはもちろん自分の本当の家族を離れたくない。つまり、「あんたの子供になんかならないよ」っていうことになる。ここで、これがメインテーマなんだけど、ウォンカがチャーリーの「親」になるためには、自分の親と和解しなくちゃならないわけだ。そして親と和解した後、ハッピーエンドとして、ウォンカとチャーリーは、きちんと家族になると。*1ただし、本当の家族がいるので、チャーリーが養子になるのでなく、ウォンカが養親(?)になるという形をとるわけだが。


まあ、実は話はどうでも良くて、やっぱりこの映画の魅力はヴィジュアルでしょという気が非常にする。そこからすると、バートン版に個人的には一票。しかし、昔のやつもなかなか捨てがたい。特に、ウンパールンパーのところとか。ところで、ダールの原作にどちらが近いのか興味があるんだけど、そこまで調べる元気がない。誰か教えてくれ。

*1:で、もちろん、バートンは最近パパになってたりする。