「夕凪の街、桜の国」こうの史代
- 作者: こうの史代
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2004/10/12
- メディア: コミック
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評判が良いので、日本に戻ったときに買ってきた。「ヒロシマ」についての漫画ってのはチョッと無理目かなと思ってたけど、読み始めると、その巧さに打ちのめされた。
追記:原爆がまだ遠い昔になっていない第一部「夕凪の街」だけでは、つまり現代の話である第二部「桜の国」ぬきでは、ここまでインパクトがなかったんだろうと思います。「桜の国」が軸になっていることを感じたのは、p.94ー95の、本編を通して最も印象的な見開きページにたどり着いたときです。ここら辺は、七波が自分の生まれる前を「回想」する(!)というテクニックが使われているところです。もちろん生まれる前のことを七波が回想できるはずはないので、これは自分の知識から再構成したものというふうに解釈するわけですが、その時、「夕凪の街」全部が七波の「回想」であってもおかしくないかな、と感じたのです。もちろんこれは穿った見方で、実はそういうふうには書いていないわけです。が、「それでもおかしくない」と感じたのは、やはり七波が物語の軸になっているためではないかと。だからこれは原爆の話ではなくて、ほとんどその痕跡が消えかけている現代で、その跡から原爆を「思い出す」ことについての話なんだろうと思います。といっても、読んでいない人にはさっぱりでしょうが。