リトル・ミス・サンシャイン(Little Miss Sunshine)


"No one gets left behind! No one gets left behind!"


予告編


毎年一つか二つ、思わぬところからぽっと出てきて、口コミで大ヒットする映画がある。今年は、「リトル・ミス・サンシャイン」がそれだ。「リトル・ミス・サンシャイン」の配給権は、サンダンス映画祭でのプレミアのすぐ翌日に、過去最高額になる10億円以上の価格で競り落とされた。最初は上映している映画館が7館のみというスロースタートだったが、2週間後には50館以上、あれよあれよという間に口コミパワーで1600館に。上映期間が40週を超えて初めて、先週、今週とそれぞれ売上3位、4位につけてきている。


あらすじは書いてしまうとすごく単純。娘がビューティー・ページェント*1の予選を通過したので、家族全員でバンに乗って(貧乏で飛行機のチケットが変えない)カリフォルニアの本選に行くという話。すぐ人間を勝ち組みと負け組みにわける、自分の開発した自己啓発プログラムを売り込もうとしているお父さんを演じるのは、グレッグ・キニア(Greg Kinnear)。(娘を除いて)唯一まともぎみなお母さんは「In Her Shoes」のトニ・コレット(Toni Collette). アラン・アーキンAlan Arkin)の演じるおじいさんは、麻薬と女漬け。プルースト研究家だったが、美男の大学院生に振られてしまって自殺未遂を引き起こす叔父のフランクは、「40歳の童貞男」のスティーブ・カレル(Steve Carell)。息子のDwayne(ポール・ダノ)は、ニーチェにいかれてて、なぜか筆談でしか話をしない。主役を演じるアビゲイル・ブレスリン(Abigail Breslin)は、「サイン」に出ていた女の子。


特に難しいメッセージがあるわけじゃあない。勝ち組にならなくてもいい、自分が好きなことをして、そして傍に自分の愚痴を聞いてくれる家族がいてくれればそれでいい、それだけの話だ。しかし、話の展開、テンポ、ユーモア、音楽、全てが絡み合って、カリフォルニアの太陽の下、なんともいえないいい雰囲気を作り出している。泣いて笑って、でも見た後にハッピーになれること請け合いの、上質のアメリカン・コメディだ。これ、間違いなく今年のベスト映画の一つでしょ。


レイバーデイ週末の劇場はほぼ満席だった。ファミリーものだけどR指定なので小さい子供はいなかったが、驚いたのは高齢者が多かったこと。映画館にこれだけおじいさんおばあさんがいるのを最近見た記憶が無い。老人ホームでもこの映画は口コミで広まっているのかな?


Entertainment Weeklyの特集

*1:ジョンベネちゃんが出ていたようなやつ。6,7歳の子供がカウボーイのかっこして踊ったりとか