「私を離さないで」

わたしを離さないで

わたしを離さないで

......という邦題で、「Never Let Me Go」の翻訳がもう出ているようだ。
お勧め。だけど、この日本版の表紙もいまいちだなあ。


この表紙のテープは、Kathyがいつも聞いていた、「Songs After Dark by Judy Bridgewater」のテープだろう。実はイシグロ氏がかつて来日中、村上春樹から「Never Let Me Go」を収録したCDを贈られていた、ということがあったとのこと。その曲が、この作品の霊感になったのか。


しかし、恐らく「Judy Bridgewater」は実在する歌手じゃないだろう。もしそうだとすれば、村上さんがカズオ君に送った曲は誰の曲なんだろう。村上さんも、作り話に一枚かんでいたりして。デレク・ハートフィールドの例もあるし......


追記:

「イシグロ 小説家として、テーマをいろいろな角度から掘り下げていくことができます。この話を書くときに最初に思いついたことの一つは、話の中に“逃亡”を入れることでした。それは誰でも最初に思いつくことです。例えば、搾取されたカーストのメタファー、人間の精神についての話にもできるだろうということに気づいたのです。奴隷と反乱の話です。でもそういう話は書きたくなかった。
私が昔から興味をそそられるのは、人間が自分たちに与えられた運命をどれほど受け入れてしまうか、ということです......」


文学界でのインタビューを、ここで読むことができます。最初は、クローン技術ではなく核兵器をメタファーに使うつもりだったんですね。