二つの左翼

最近読んだ記事で面白かったもの。最近南米で左翼政権が次々と誕生して話題になっているが、同じ左翼といっても、歴史的にも性格的にも全く異なる二つの左翼が混在しているとのこと。


一つのグループは、一言でまとめると、「過去の失敗に幻滅して生まれ変わった伝統的左翼」といったところか。彼らはアメリカの帝国主義に反発して見せるが、貿易の利益を得るために、アメリカとは基本的に協調モードにある。そしてその経済政策は非常にオーソドックスなものだ。このグループに入るのは、チリ(Bachelet)、ウルグアイ(Váz­quez )、ブラジル(Lura)など。


もう一つのグループは、ナショナリストかつポピュリストな人達。彼らの目的は、政権を維持すること。票を買うための資金をいつも探しているが、税金をあげると人気が落ちるため、様々な産業をコントロール、あるいは国有化し、そこからレントを得ている。もちろん経済は最悪だが、そんなことは気にしない。それどころか、その責任をアメリカに押し付けてナショナリズムを高揚させることができるので、不況はむしろ大歓迎なのかもしれない。このグループに入るのは、アルゼンチン( Kirchner )、ボリビア(Morales)、ベネズエラ(Chavez)など。


記事は、前者を良い左翼、後者を悪い左翼と呼び、アメリカは、後者がはびこらないように前者を陰に陽に援助すべきだと論じている。フォーリン・アフェアーの元の記事は、こちら


この記事を読んでからすぐに、ボリビアでガスと石油が国有化されたというニュースを聞いた。また、ペルーとメキシコでまもなく大統領選があるが、ペルーのHumala候補、メキシコのObrador候補は、後者のグループに入るリーダである。ペルーの6月4日の大統領選、メキシコの7月2日の大統領選では、この二人が当選するかどうかが注目の的になるだろう。


追記: Humalaは負けたようですね。当選したGarciaは、市場を無視しない穏健左派といったところですか。